理念

日進野菜塾は、大都市(名古屋市)近郊で「農」にとりくむNPO組織です。

「農」と言っても、農家ではありません。非農家の一般市民が中心となった非営利団体です。

当初は自分たちの楽しみからスタートした趣味サークル(のようなもの)でしたが、今日2011年現在では、地域社会に対して、私たちの取りくみを広く伝え、共感者をつのり、「農の分野」で市民ならではの役割を果たしていきたいと考えています。

田んぼや畑が「もたらす魅力」

田んぼや畑は単に作物がつくられる、「生産の場」というだけではありません。 大都市に暮らす(非農家の)住民にとって、さまざまな恵みをもたらしてくれます。

大都市に住むわれわれの多くは、農や自然とは切り離された生活となっています。 生活あるいは仕事の場所はたいていマンションやビルなどコンクリートに囲まれ、道路は舗装され、むきだしの「土」が見える場は本当に少なくなりました。

でも、広〜い畑、田んぼに立ってごらんなさい。 300坪とかの広さがある畑、900坪(3反)の田んぼ。こういう農地が広がっている場に入ってみてください。そこに立っているだけで、爽快な気分になります。 まわりにさえぎるものはない。遠くに地平線が見える。農地はみんな土だ。

空にひばりが鳴き、いろいろな鳥がとびかい畑におりてくる。スズメにカラス、サギ、キジ。きれいな川でないが、ときどきカワセミを見ることができる。 畑の土に目をこらすと、いるいる。たくさんの虫たちが。 ひとくちに雑草と言っても、よく見ると実にたくさんの種類がいる。一つひとつが形もつける花もみなちがう。

ここへ来る女性の会員さんが言いました。
「いつまで草取りしていても飽きない」
「畑や田んぼに立つと、おおげさなようだが、『生きる実感』らしきことが感じられる」
「農作業は疲れると思ったが、帰るときには『ふだんの疲れ』がとれていた」

ここへ来た子どもたちはたいていあちこちに走りまわり、生きもの探しをします。 穴ばっかり掘る子どももいます(どれだけ掘ってもかまわない)。 てんとう虫やバッタをつかまえ、「お母さんのおみやげにするんだ」と言って帰る子もいます(お母さんが悲鳴をあげるかも)。 子どもたちが本来持っている「本能」のようなものが解放されるのかもしれません。

 

「体験を広げる」こと

私たちは思うのです。 こういう楽しみ、こういう爽快さもっと多くの人たち、子どもたちが体験できたらいい。 そこには都会の暮らしでは決して得られない、また今の社会に欠けたるものがたくさんある。

「種をまき、芽を育てる」
「生きものを見る、観察する」
「土にふれる、耕す」
「親子でいっしょに育てる、収穫する、ともに味わう」

…かってはあたりまえに存在していた「農や自然ののある暮らし」。ここでこれらの一端を体験して家に帰れば、きっと会話もはずむだろう。 おたがいの気持ちが少しはおだやかになる。野菜や米の味をかみしめる。そうすれば食欲も寝つきもよくなるのでないだろうか、と。

こういう体験できるような場が社会にもっと準備されるとよいのですが、これまで名古屋周辺でそういうことができる場はほとんどありませんでした。 これだけ昨今、農業ブームと言われているにもかかわらず、子どもに田んぼや畑の体験をさせたいと思っても、どこに相談したらよいか、どこでやっているのか、ほとんどの人がわかりません。

われわれは農家ではありませんが、一市民として、畑や田んぼの体験がとても楽しいことを知っています。 私は思うのです。そういう「体験の味」を知っているわれわれこそが、もっと多くの他人を受け入れる役割を担ってもよいでのないか、と。

たまたま恵まれた農地を使って、もう少し公共的な活用、自分たちもまた来た人も楽しめて、続けられる。 そうして多くの市民の参加を促すことで、少しでも耕作放棄地も有効に活用されること。こういう社会的な役割の一端を担うことはとても意味がある。そう思うわけです。

 

「協働」市民菜園の展開

われわれは農体験を単なる作業体験としてでなく、教育効果、農についての理解深化、仲間づくり(コミュニティづくり)の場として、とらえたいと考えています。

私たちの展開する菜園は、よくある「一坪」農園などの区割りされた農園のカタチではありません。区割りされた農園は、それぞれの区画で個々の利用者が銘々勝手にやるだけとなりがちです。区画菜園の場合、利用者間の交流が少なくなりがちなこと、初めて栽培に取りくむビギナーにははじめはなかなかうまく栽培できないこと、全体の景観が統一感に欠けることなどのデメリットもあるからです。

われわれは、広い畑や田んぼでおおぜいでそろって、「共同」で作業体験する。また市民と指導役の生産者とが(できるだけ)いっしょになって共通の時間をすごす。市民の参加人数におうじて、作物や利用する圃場の広さを変えることもできます。

季節の野菜を多種類、いっしょに取りくむこともできます。また米づくり、味噌づくりのための大豆栽培など、一人ではできないこともおおぜいいでなら可能になります。

 

有機・無農薬栽培

私たちは農薬や化学肥料は原則として使用しません。

いろいろな生きものや自然との共生と考慮して、できるだけ有機肥料を使い、土づくりを時間をかけておこなう。作物の収穫量を追及するのでなく、田んぼの生きものをはじめいろいろな生きもの、植物の多様性を重視していきます。